会社員として働きながら7つの資格を取得してきました。宅建・FP2級・日商簿記2級などがその主なものです。
取得して感じたことがあります。資格勉強を始める前に、もう少し現実を知っておきたかった、ということです。
本記事は「これから資格を取ろうとしている社会人」に向けて、始める前に知っておくべき現実を整理したものです。
目次
社会人の資格勉強が「想像より消耗する」理由
学生時代と社会人の資格勉強には、根本的な違いがあります。学生の場合、勉強が「メインの仕事」です。しかし社会人は、仕事・家事・人間関係がすべて優先される中で、残った時間と体力で勉強します。
消耗しやすい理由は、時間の問題だけではありません。平日は職場でのストレスを抱えたまま帰宅し、そこから机に向かう精神的な負荷は、学生時代に想像していたものより大きかったです。
現実①:時間は「捻出するもの」ではなく「設計するもの」
資格勉強を始めた当初、「平日は朝に1時間+夜に2時間」という計画を立てました。
3日で破綻しました。
残業、急な飲み会、翌日の会議の準備。想定外の予定が入るたびに、計画が崩れました。そのたびに「自分は意志が弱い」という自己嫌悪が重なりました。
その後、やり方を変えました。「1日の時間を決める」のをやめ、「週に最低14時間」という週単位の目標に切り替えました。週の中でどの日に何時間やるかは、その週の状況に応じて動かしていい、というルールにしました。
結果として、学習が続くようになりました。
社会人の資格勉強は、固定のスケジュールに自分を合わせようとすると失敗しやすいです。イレギュラーを前提に、週単位・月単位で調整できる設計の方が機能します。
現実②:モチベーションは当てにならない。仕組みで続ける
仕事で失敗した日、疲弊して帰宅した夜、モチベーションは存在しません。資格勉強を「やる気があるときだけやるもの」として設計すると、必ず止まります。
私が実践して機能したのは「1問だけ解く」というルールです。どれだけ疲れていても、問題集を1問だけ開きます。1問終われば、もう少し続けることが多かったです。1問で終わる日もありました。それでも、「ゼロにしない」ことが継続の核になりました。
モチベーションは結果としてついてくるもので、勉強の条件にしてはいけません。
現実③:「なんとなく役立ちそう」で選んだ資格は後悔しやすい
業務命令でITパスポートを取得したことがあります。取得しましたが、自分の実務にはほとんど関係がなく、今となっては「時間を返してほしい」とすら感じます。
社会人の自由時間は有限です。目的のない資格取得は、時間・気力・場合によってはお金も失います。「なんとなく潰しが利きそう」「周囲が取っているから」という理由での選択は、後悔に直結しやすいです。
資格を選ぶ前に、「これを取った3年後、自分はどう使っているか」を具体的に想像できるかどうかが一つの判断基準になります。
資格には種類がある。取得前に知っておくべき違い
資格には大きく2種類あります。
業務独占資格
その資格がなければ法律上できない業務がある。(例:宅地建物取引士、医師、弁護士、社会保険労務士)
名称独占資格
資格名を名乗れるが、業務自体は資格なしでもできる。(例:国家資格キャリアコンサルタント、ファイナンシャルプランナー)
業務独占資格は、取得後に「その業務ができる人」として比較的短期間で市場価値が高まりやすいです。名称独占資格は、資格だけでは差別化が難しく、「その資格を持って何をしたか」という実績が問われます。
私はキャリアコンサルタントの資格を転職に活用しましたが、実務においては「資格があるから仕事ができる」とは感じていません。あくまで入り口として機能した、という位置づけです。
名称独占資格の取得を考えている方は、取得後に「どのような実績を積むか」まで考えてから動くことをおすすめします。
この資格を取るべきか:自分で判断するための5つの問い
以下の問いに答えることで、取得判断の精度が上がります。
- 3年後、この資格をどう使っているか具体的に想像できますか?
- 業務独占資格か、名称独占資格か?取得後に何ができるようになるか理解していますか?
- 現在の仕事や目指すキャリアと、直接または間接的につながっていますか?
- 合格のために必要な学習時間を確保できる現実的な見通しがありますか?
- 費用(教材費・受験料)に見合う価値があると判断できますか?
5問中3問以上に自信を持って「はい」と答えられる場合、取得を進める価値があります。2問以下の場合は、別の資格や別のタイミングを検討する余地があります。
まとめ:現実を知ってから始める人が、一番遠くまで行ける
資格取得は、知識や継続力だけでなく「正しい目的設定」があって初めて機能します。
社会人の時間は有限です。「なんとなく始めて途中でやめた」という経験ほど、消耗するものはありません。取得する資格を決める前に、本記事で挙げた現実と問いを一度立ち止まって考えてみてください。
筆者プロフィール
保有資格:宅地建物取引士 / FP2級 / 日商簿記2級 / 国家資格キャリアコンサルタント / 介護職員初任者研修 / メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅲ種 / ITパスポート